炭焼きでできるものには無駄が無い。木酢液は、炭焼きで出る煙を液化させたものだ。炭焼き工房やすたの木酢液は、白山山系に自生する広葉樹木を使い、昔ながらの土窯で作るため非常に高品質。土壌の殺菌消毒、植物の活力剤等、使用範囲も幅広い。
ただ、市場にある木酢液の品質ランクはまちまち。使う木の種類や製造方法によって成分が違う。生活者の理解が深まれば良いものを選んでもらいやすくなる。
「木酢液も炭も人の暮らしを豊かにする非常に良いものやから、ぜひもっとよく知っていただきたい」。

安田さんはバブルの絶頂期に脱サラして山に入った。ポストを投げ打って炭焼きのおっちゃんに転身し、周囲を驚かせた。子どもの頃から森が好きで、大人になってからも山に来ればストレス解消になった。しかし自然と親しむだけじゃなく、山と向き合うようになったことで、価値観や人生観も全て変わったという。
元々、里山の再生を目指して炭焼きを始めただけあって、森づくりにも独自の視点が光る。「山におると現代の縮図が全部見える。まちにおる方が麻痺して分からんのや」。

「こんな仕事に巡り会うたのも運命やな」という安田さん。人懐っこいニコニコ顔で語り出したらもう止まらない。なぜなら、炭そのものの話から炭焼きの方法、職人の技の話、土窯の作り方、伐る樹木、それを育てる活動、森の維持管理など、その一つ一つにじっくり向き合ってきた実感を背景に、独自のこだわりや思い入れが詰まっている。講演がいつも大好評というのもなるほど納得だ。茶会用の炭を求めて、直接炭焼き小屋を訪ねる茶人も多い。
炭をめぐる技は、放っておけば高齢化によって消えかねない。炭を使うという文化も然り。安田さんは木酢液や炭を通して、まちで暮らす人に山の文化を届けている。 |
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