伝説によれば能登上布の歴史は約二千年前に遡り、崇神天皇の皇女が当地に麻の機織りを伝えたのがはじまりという。 戦後昭和30年代まで、この一帯で織り機を持たない家はない程だったそうだが、昭和52〜53年にはほとんどが辞めてしまった。現在はその伝統的な技を伝え継ぐため、能登上布会館を拠点に生産と人材育成の活動が行われている。

能登上布の持ち味は、何と言っても手織り独特の上品さ。素朴な絣目は気品を醸す。肌触りも良く、身に付けると麻独特の通気性の良さと軽さで、夏の暑さを和らげてくれる。汗がつきにくいのも特徴で、楽な手入れで扱いやすい。「夏になると、みんな麻の上布を着てお寺に行ったもんや」。
館内の機織り機は、どれも年季が入っている。昔からやってた家々に「あるかいね?」と尋ね、「家を建て替えする時に燃やいてしもた」という声を聞きながら寄せ集めた。
各家で1年かけて織り貯めた反物を持ち寄ってずらりと並べ、京都から来た仕入れ問屋が検分した光景も今はない。子どもたちが学校でかわす「今日はこれだけクダ巻をさせられた」といった会話も今は昔。

しかし、準備から仕上げまで手作業の工程は変わらない。絣模様を出すため、方眼紙に柄の絵を書き、経糸の染め方を計算する。機巻きは何十年やっても一本一本が一年生という。
例えば白い糸に黒を押して染め、十の字を出す逆押し。コンピュータで作ったみたいにキチンと「じゅのじ(十の字)」が出ない。しかしそれが手織りの証でもある。「習いながら習いながら、スローライフそのものの織物」。
一般希望者の体験台もある。「時間に余裕が出来たら、ぜひ寄ってください。来られる時は、事前に連絡をしてください」。 |
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