| ◎ 山中塗 ◎ | ||
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山中塗のJ-ブランド(ジャパンブランド)づくりは、カナダとの交流から活動が始まっている。2004年にはソルトスプリングアイランドと首都バンクーバーを訪ねて作品展示会を行った。 島の面積や人口がほぼ山中と等しいソルトスプリングアイランドには、モノづくりのアーティストたちが住み着き、自然に恵まれた中で創作活動を行っている。森の中の工房を訪ねる観光客も増えており、一時は大資本による観光開発の動きもあったが、島の住民たちの努力で緑豊かな自然環境が守られた経緯がある。地域資源を生かしたモノづくりの姿勢は、山中の職人たちにも刺激を与えた。 山中塗も自然素材による工芸である。特に、アジア圏にしか存在しない漆という素材が、いかに素晴らしい塗料であるか再認識させられた。ミツ蝋やオイルステンによる仕上げでは、水分が浸透するため食器には使えない。熱い汁物、酸味のものも入れられる漆という塗料が、天然塗料であることが理解しづらかったようで、ナチュラルで優しい漆を定着させるという課題も得られた。交流は日本の大切な文化を見直すきっかけにもなる。 展示会では、お茶会を行って漆器を使う風景を演出、また日加の職人同士がお互いの技の競演も行った。言葉が通じないところで何かを得ようとするには、自分からさらけ出すことだとばかり、まずは見ていただいた。蒔絵とろくろ挽きの実演はお客さんが減らない程で、思った以上に評価を受けた。 参加した4名の木地師の一人、佐竹さんは、大変なカルチャーショックを受けてきたと語る。カナダのウッドターナーと日本のスタイルは予想以上に違っていた。「木挽きで日本一の技術力を持つ山中は、故に世界一だという感覚は持たない方が良い」。 材料となる木の取り方、作業姿勢、刃の回転方向、刃ものの形状から、何よりモノを作るスタイルが違う。日本では技術で挽ききって自分たちの器にする感覚が強い。だから、職人は自分の技術を高めることがまず第一のテーマ。 しかし、彼らはモノを作るための技術。口が細い坪型など、日本の感覚では挽けないものでも作ってしまう。技術レベルの高さにも驚かされた。 また、相当なウエイトでオブジェが多いためか、木に対するこだわりが全然違う。キチッとシャープに作る日本に対し、木の皮や節、自然な肌合いの生かし方に彼らは非常に神経を使う。日本人が気にする木表・木裏は彼らには関係ない。その木のどの部分を気に入って表現したいかでデザインする。だから、とてもラフで自由。 メイプルなど、彼らが木取りした材料をたくさんくれた。現地で驚かされた形状を、すでに自分の手で挽いてみた。「私たちでは簡単に入手できない材料がある。コブですよ」。 まずやってみて、自分にプラスになるものを抽出する。マネの先に何があるか。技術的にどう変化するか。結論が分かっているわけじゃない。やっていくうちに、今後の仕事にどう生かせるか。 意気投合したボブさん、モーガンさんが、年明け早々にホームステイにいらっしゃる。お互いの技術を交換し合う交流が着実に行われつつある。 今後は、継続していろんな方々に日本の良さを知っていただくことが一つ。そして、産地として向こうで受けた感動を踏まえ、モノづくりに反映させていくことが課題。あるいはコラボレーションができれば、また新たなものも生まれるのではないか。蒔絵の松山さんは今回、事前に上口商工会長が買っていたアイランドの作家の作品に加飾して持参した。「せっかくオレが作ったものに、と怒られないか半信半疑だったけれど、それも感動をもって受け入れられました」。 松山さんの仕事は、この10年でお茶道具から山中塗のアクセサリーに比重が移ってきている。オンリーワン的なモノづくりに近づいているという。山中塗の職人のモノづくりも変化しつつある。 「一度行って、もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃないかと感じました。それまで作っていたものが、決まった制約の中でだけ、とカタ苦しかった」。 せっかく伝統産業がある山中のまちが「素晴らしいまちだ」となるには、職人さんがイキイキして元気じゃないと。松山さんのここ10数年の実感だ。そして今回、素晴らしい環境で良い仕事をするアイランドの職人を見たり、市で直接お客さんと接する様子を見ることができた。「これが意識改革になっていけば」。 JAPANと呼ばれる漆器、漆を世界に広めていくための元気なまちづくり。職人のまち山中の挑戦は続く。 |
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