
加藤和紙は、白山麓から日本海へと注ぐ手取川のほとりの川北集落にある。千年の和紙、雁皮紙専門の和紙漉きを今も守り続けている工房は、日本でただ一軒だ。
楮、三叉と異なり、栽培ができない雁皮の木は、今や全国でも稀少な存在。石川県が北限である。
雁皮を原料にした和紙は、強靭で虫害、変色にも強い。そのため今日まで現存する古書にも多く見られる。千年もつといわれる所以。国立博物館での修復事業にも、加藤和紙に雁皮が発注される。

雁皮紙は昔、最高級品質の箔打ち紙として欠かせなかった。金沢は日本の金箔製造の99%を担う伝統工芸のまち。手取川のきれいな水に恵まれた紙漉きの村は箔と共に二百年続いたが、手間隙のかかる雁皮に代わる箔打ち技術が開発されると需要を失った集落は一変した。
今は雁皮を鍛えた箔打ち紙による金箔は相当な高級品。他に雁皮紙は、滲みが無いことから、かな書用等に求められる。

「漉いた和紙で、どこまでモノづくりできるかが、今の自分の中での挑戦です」と語る加藤満紀子さん。雁皮紙を使った和みの雛人形や、雁皮紙を柿渋で塗って防水・防虫効果を高めたバッグをはじめ、灯かりや屏風、洋服などにも展開してきた。バッグは紙の認識を変えるほど丈夫でしかも軽い。
良い和紙を使うと職人は仕事が楽。だから加藤和紙では、職人から値が付いてくる。ただ、商品にした時には勝手が違うのが悩み。「そんなに高いのって言われますね。同じ値段でも、金箔の雛人形だと高いと思わないみたいで。雁皮の素晴らしさをもっと知ってもらえるようにモノづくりを工夫していきます」。
|
|