
「いかとんび」とは、いかの口のこと。能登のいか釣漁師の家では昔から塩焼きや醤油焼きにして食べられてきた。お酒好きなら珍味としてご存知の方も多いだろう。いか一パイから一個しか採れないこの珍味は、口の中で殻(クチバシ)を外しながら食べるのが普通。ところがこれが結構面倒くさい。
そこで、殻を取ってしまえば食べやすくなると、商品化に乗り出した。
 いかの口の部分にある硬い殻を丁寧に取り除き、数個ずつ串に刺している。殻取りは一個一個手作業。手間も暇もかかって大変なのだが、これにより食べやすさがグンとアップする。もちろんいただく立場からすれば、面倒さができるだけ無いほうが、何度でも気軽に手軽に食卓に乗せやすいし、幅広い年代層が味わえる。実は、殻の取り方にもコツと慣れがあるそうだ。
もちろん、味へのこだわりにも研究の成果がいろいろ詰まっている。通常の状態で普通に焼くと、冷めた時に硬くなるため食べずらくなる。何とかできないかと検討を重ねてたどり着いたのが、海洋深層水による下ゆで。
 地元の能登町では、海洋深層水を取水している。ミネラルが豊富な海洋深層水は、健康への効果からも期待が高まり注目されており、近年さまざまな研究が進められているが、この海洋深層水でボイルすると、焼いた後でも、冷めても柔らかいまま味わえることが分かった。
防腐剤を使わずに日持ちさせ、なおかつほんのり塩味をきかせるための深層水ボイル仕立てになっている。こうしてボイルして急速冷凍をかけると、解凍時もべたっとしない。独特のプリプリ感もきちんと残る。
いかを知り尽くした地元の知恵と研究成果による、いかとんび串の製法は特許も取得している。焼き鳥風に塩焼きでも良し、フライパンでバター焼きにしても良し。串を片手に港町の活気に思いを巡らせるのも楽しそうだ。
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